全仏オープン2023の女子ダブルス三回戦でかなり珍しい事が起きた。第2セット途中でボールガールにボールをぶつけてしまい失格に。そこからのMIXダブルスの優勝、凄かったです。
もちろん故意では無いのは明らかだが対戦相手から審判への告げ口もありテニス界の中でわりかし大きな問題に発展します。
この状況下でMIXダブルスをプレーし続けるのは本当に屈強なメンタリティが必要だなと思います。
今回は個人競技の選手が持っているメンタリティについて深堀りしてみたいと思います。
★人の意見より自分のやるべきことをやり切る
これはテニスで最初、ハマりがちなパターンなのですが色々と自分に対して言ってくる人、意見してくる人がたくさん出てきます。もちろん有名選手になればなるほどたくさんの意見を言われる事が多くなります。
がこれに流されずに最初決めた目標に向けて努力し続ける事が大切です。
もちろん応援してくれているファンの声や周りの人の意見も大切だが決断するのは自分で、周りの人たちは基本自分の成功を願ってくれています。
そしてその競技において一番精通しているのはプレーやー自身、もしくは自分のチームの一員です。(トレーナーやコーチなど)
なので一番精通している人が決断を下した方が成功する確率は上がるため自分の意見、自分のチームのプロフェッショナルの意見を貫徹します。
加藤選手は大きな騒動の中、これを実践できた素晴らしいメンタリティの持ち主だなと感じました。
★自己中心的な考えではなく客観的かつ効率的に
自分の意見を貫徹するというとどうしても自己中心的なイメージがあるかもしれませんがテニス選手はそれでは勝てません。
あくまでも貫徹するのは客観的に効率を考えて適切だと判断した時のみです。
これを間違えるとただただ非効率的なプレーを繰り返すだけとなり高確率で負けに繋がります。
もちろんこの客観的かつ効率的なプレーというのは簡単に手に入るものではなくたくさんの苦しい場面を乗り越えてきた経験がものをいうということとなります。
最初のうちは苦しい場面で逃げてしまったり、楽な道を選択してしまって失敗することの方が多いでしょうが5回ぐらい失敗して1回ぐらい成功する頻度になると思いますがその成功をたくさん集めて自分のプレーの指針としていくわけですね。
★加藤未唯選手の最後までファイトする心
プレーに必要なメンタリティ、そのバックボーンについて説明しましたがじゃあ加藤選手の凄いところ、プレーで大切にしているであろうところに着目していきたいと思います。
加藤選手の凄いなというところは最後までファイトする気持ちです。
テニスは1ポイント1ポイントの積み重ねなので試合が終わるまでどうなるかわかりません。
ただ選手ならわかるのですがこれは負けそうだなとか、展開上きついなと思うことはよくあります。
加藤選手の試合を観ているとこれが最後まで態度に出ないのですね。
心で思っているのと態度に出るのは全然違って、態度に出てしまうと相手にそれが伝わります。
加藤選手は試合中感情は出すのですがそれが勝ち負けの時に起こるのではなくて自分のプレーが上手くいったり上手くいかなかったりの時に感情が出ます。
これが勝ち負けはプレーヤーに操作できる事では無くて、プレーヤーは最後まで一生懸命、楽しんでプレーすることだという意思が伝わってきます。
これが観客に伝わるから応援してくれるファンが多いのだと思います。
★勝負事の鉄則、『結果だけに一喜一憂しない』
テニスの試合ももちろん勝負事には運の要素がある。なので勝ちにいって勝つことは難しく正確には良い内容のプレーをすることによって勝つ確率を極限まで高める事が大切だ。
これにはリードしているされているなどの近々のポイント情報以外にプレーの内容が重要となってくる。
選手に出来るのは良いプレーが出来るように試合までの時間に良い準備をすることと試合中思考し続け、最後までエネルギーを失わない事だ。
あれっ?これは先ほどの加藤選手から受ける印象と全く同じ。やはりグランドスラムチャンピオンは勝負の鉄則を良く理解し努力し続けてきたんだろうなと思わせるような試合内容だった。
テニスは世界で二番目に人気のあるスポーツと言われている。(1番はサッカー)
それにはこういった影の努力、苦しい場面を乗り越える選手たちの姿が一つのドラマのようになることで観るもの、プレーするものを魅了し続けているのではないでしょうか。
そんなピンチをチャンスに変えていく加藤選手にこれからも期待が高まるばかりです。
この記事の執筆者 鈴木翔
日本テニス協会公認コーチ、全日本選手権出場、テニス事業代表
プロ選手のサポートから始めたての方まで幅広くテニス指導にあたる。選手、コーチ両方の経験からテニスの専門知識からテニスの奥深さを感じてもらうコラムを執筆。
高校からテニスを始め、5年後には全日本選手権に出場。
テニスコーチをしながら選手を兼任し続けますが二度目の全日本選手権出場時に右肘の
内側靭帯断裂の大怪我を負う。
そこからはプレースタイルを変化させ三度目の全日本選手権出場やITFマスターズ(年齢別)の世界ランキング最高27位を記録する。
現在はテニス事業代表として幅広く指導に励みながら自分のテニスも続けております。
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